今年行われた第71回日本産科婦人科学会において
妊娠するチカラ=妊よう力
についての見解がシンポジウムで述べられていました。
秋田大学産婦人科 寺田幸弘 氏/京都府立医科大学産婦人科 北脇 城 氏
連名での演題名は
「妊孕性改善と生児獲得を目指したpreconception care」。
「preconception care」とは「妊娠前のケア」
の意味で、皆さんに判りやすくお伝えするならば「妊活」という言葉になるかと思います。
今回のシンポジウムでは4つの研究の紹介もなされていました。
①「栄養環境の改善」を特にビタミンDとメチレーションから
②「慢性子宮内膜炎」についての妊娠成績と子宮内免疫について
③「肥満と多嚢胞性卵巣症候群」について小胞体ストレス(ERストレス)に着目して
④「子宮内膜炎」の子宮内膜幹細胞からの発生機序について検討
とても、関心深い演題が討議されています。
今回の寺田先生の序文に寄稿されている言葉と図がとてもシンプルで、今までtotellで進めてきた事と強くリンクしておりましたので抜粋させて頂きます。
「ヒトはエネルギーソースとしての脂肪が身体に蓄積し、糖代謝経路も成熟した状況になると妊娠が許容できるようになる」
「妊娠、出産にリスクを生ずる状況に陥ると『機能的な軸』が停止する。従来「卵巣機能不全」として捉えられてきた無排卵等の病態も『全身諸臓器、組織の機能不全による卵巣機能停止』の状況であることが稀ならず存在することも想定できる」
【 寺田ら.妊孕力改善と生児獲得を目指したpreconception care : AOGP Vol.71.No.9.pp.1776-1782.2019】
その「組織の機能不全」をどう解決していけば良いかを、開業以来ずっと皆さんと追い求めてきたと考えております。
先日、数年ぶりの体外受精にチャレンジされる予定のYさんとお話しをさせて頂く機会がありました。
第1子の体外受精にチャレンジされている時に、こちらへお越し頂き、その後、無事出産されて、第2子は自然妊娠・出産され、そして、今回、第1子の際に残されていた受精卵を戻したい意向でお越し頂いています。
その中で
数年ぶりに以前、通っていた生殖医療の施設に行かれて、以前は全くされていなかった栄養の指導をされている事に驚いたお話しをお聞きしました。
生殖医療の現場も少しずつ変化をされている事に改めて、実感を強めています。
体に必要な三大栄養素(タンパク質・脂質・そして糖質も大事な栄養素です。その取り方やとる素材に問題が含んでいます。)
と
それらを繋げて、エネルギーに転換していく「オイル」のような役割のミネラル・ビタミン
その栄養素をただ、取り込むだけでなく、取り込む為の「過程」を丁寧にお作りしていく事が
totellに課せられた役割と考えております。
今後とも
「preconception care」=「妊娠前のケア」をしっかりとお繋ぎ・サポートして参りたいと思います。