妊活コンディショニングサロンtotell(トテル)

血液データと多嚢胞性卵胞症候群について

totellでは、血液データを用いて「妊活」を見直す作業を進めております。

あるクライアントさんより許可を頂きまして

下記のデータの分析と対応について考えて参りたいと思います。

 

こちらにご提示されているのは、通常、生殖外来に行かれた際に必ず血液検査によって指標にされるものです。

1)FSH : 脳下垂体から卵巣へ卵を成長させる為のホルモン

2)LH :脳下垂体から卵を排卵させる為のホルモン

3)プロラクチン:脳下垂体から乳汁分泌ホルモン

4)プロゲステロン:卵巣から排卵後の黄体期を維持するホルモン

5)E2:卵巣より卵が育ている事を下垂体へ情報提供するホルモン

になります。

 

この5つあるホルモン値から

現状の問題点とその対策を考える事を行うことができます。

 

 

生理周期には

1)月経期

2)卵胞期(排卵前期)

3)黄体期(排卵期)

の3つに分かれています。

今回、頂いた数値は、「黄体期後期」の時期になります。

通常、どの期においても、LHはFSHよりも小さな値でなければいけませんが、今回頂いた血液データでは

LHが4.8

FSHが2.6

LHが高い状態です

 

LH/FSHが1以上になっている場合(LH /FSH>1:1.84

多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)の疑いが一般臨床では考えられます。

では、多嚢胞性卵胞症候群に関して、どの様な対策が有効なのでしょうか?

そこをしっかりと詰めて考える事で、確かな方略が出てくると考えます。

それは結果、悩まれている今から、よい経過に進まれる確率が上がることにつながります。

下記はPCOSの発生機序とエビデンスを述べたものです。

PCOSは「体内のインスリン濃度の上昇」がその派生因子として考えられています。

 

インスリンは「膵臓」から出る「血糖コントロール」を行う人体での唯一のホルモンです。

 

甘いもの、所謂、糖質を食べた場合に血糖値が上昇したのを下げる役割があります。

下記のエビデンスでもサルを活用した場合に

「西洋食(高脂肪と高果糖)を食べ続けたサルがより多嚢胞性卵胞性になっていた」 【Fertil Steril 2016; 105: 1023】

との報告があります。

(果汁100%のジュースなどは、ブドウ糖果糖液などの入っている清涼飲料水よりもよいですが、実は過剰に飲みすぎると血糖をあげてしまう事も少しお考えの中に入れて置いて頂ければと思います。)

 

ただ、妊活をされている皆さんにとって、「糖質制限」は行われている傾向が高いことが考えられます。

そこで、もう少し考えを掘り下げて

何故?「インスリン」が上昇してしまうのか?を考える事が解決をより確かにしていくと思います。

 

インスリンは血糖値が上昇することで、膵臓から産生される事を述べましたが、実はそのインスリンが産生される「初動」をコントロールしているのが腸内ホルモンである

インクレチン

です。

腸膜が正しく機能していないと、インクレチンが初期に発動せずに、急激なインスリンのスパイク(上昇)が起こります。

その結果、通常よりも多くのインスリンが産生されます

結果、急激な血糖低下が起こり、低血糖が食後などに起こり、強い「眠気」などが引き起こるなどの症状も出てきます。

問題なのは、筋肉を動かすのは異なり、自分の意思でホルモンなどはコントロールできない点です。

この事からも如何に、生活習慣を変化させ、環境からスイッチを切り替えていくのかが、キーポイントになって参ります。

今回、データをご提示いただいたNさんとお話しをしている際に

1)花粉症などになった

2)皮膚の発赤

を問診と視診から伺うことになっております。

花粉症は自己免疫疾患で、自分の免疫(白血球など)が自分を攻撃して炎症になる事で、クシャミや鼻汁が出て来る事になります。

これらは、炎症所見とも考える事ができます。

 

この炎症はどこからきているのか?と考えた場合に、先ほどのインクレチンとの関与で検討した場合には

腸膜の反応性低下≒ 腸内環境の変化 ≒腸内炎症 ≒アレルギー症状

という関係性が考えられ

血糖値のコントロールができない ≒ 腸内の炎症からの誘発因子の仮説も立てることも可能です。

栄養を沢山、摂取しているにも関わらず何故結果に繋がらないのか?を考えた場合に、その栄養吸収の源になる「腸」の視点から考えていくと、打開策につながる事を多くの皆さんと体験をしています。

 

 

この際に対策として

ファスティング(断食)を行う事で腸内を一旦、リセットできる可能性も高まります。

下記はシングルケースになりますが、ファスティングをする事で1ヶ月後の鉄の身体保有量(鉄/フェリチン)が上昇している事をみる事ができます。

「ファスティング=日常の食事形態の大きな変化」

への可能性を考える事ができ、それが

継続的なミネラル身体保有量の確保につながる効果が考えられます。

 

 

 

「鉄」はエネルギーを維持する上で欠くことのできないミネラルです。

心臓など、人間とって活動をしなければいけない部分には「ミトコンドリア」が豊富に含まれていますが、実は「卵子」も非常にミトコンドリアが豊富な面を持っています。このミトコンドリアを動かす為には「鉄」必要になってきますので、この点においても「ファスティング」がよい効果をあげている事も考えられます。

 

 

 

ファスティングなどの対策に加えて

腸膜を安定させる対策(腸膜、腸内環境、消化酵素への対応)

を時系列で行っていくことを行って参ります。

 

 

多嚢胞性卵胞症候群への対策「日常からできる」「具体的な実践方法」をNさんと積み上げていきたいと考えております。

 

明日は、もう一つ、解決すべき

「高プロラクチンと甲状腺機能低下症」(とても沢山の方々が悩まれています。そして、これらはセットで考える事ができます。)

 

に関してその機序と対応策を考えていきたいと思います。

 

また先日、ご報告をいただきました

佐賀市からお越しのOさん

順調に予定の採卵2個獲得をされています。

胚盤胞へとつながる事を願っております。

 

 

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