現在、コロナウィルスにより「免疫」が見直されています。
実は、受精卵が子宮に「着床」する為には子宮内膜の「免疫」も大切になってきます。
今回は、「着床メカニズム」と
そして「免疫」の関係について考えていければと思います。
妊娠に関しては①〜⑥までの過程を経る必要があります。
自然妊娠でも、体外受精においても⑥の着床に関しては
1)受精卵の成長する強さ
2)受精卵を受け入れる「子宮内膜」の状態
が必要になってきます。
2)の「子宮内膜」における着床のメカニズムと免疫について考えながら
何を行えばよいのかを考えていきたいと思います。
〜着床のメカニズム〜
1st Step : 胚の子宮内膜管腔上皮との対立 :胚対位(apposition)
*胚から分化した栄養膜が内膜上皮と触れ合う
↓
2nd Step : 胚の子宮内膜管腔上皮との接着 :胚接着(attachment)
↓
3rd Step : 胚の子宮内膜間質への浸潤 :胚浸潤(invasion)
上記のような推移を進むことになります。
今回は 2nd Stepの胚接着 について特に考えていきたいと思います。
胚の接着には4つの因子が必要と言われています。
1)ムチン類:糖鎖を含む大きな分子
2)細胞外マトリックス(ECM):細胞の外に存在する不溶性物質
3)接着因子
4)成長因子・サイトカイン(免疫を促進するタンパク質):
①EGF : 上皮成長因子→タンパク質の一種
②CSF-1:マクロファージなどを活性化する糖タンパク質
③LIF:様々な役割を有するサイトカイン→子宮免疫寛容に効果
④IL-1:炎症時に拠出するサイトカイン
⑤カルシトニン:甲状腺から分泌されるペプチドホルモン
⑥HOXA-10:着床時に上昇するタンパク質の一種
⑦COX-2(シクロオキシゲナーゼ):血管の透過性、拡張を促進する炎症性
【末岡浩:着床過程のメカニズムおよびその異常】
(タンパク質が免疫では必要である事が伺えます。)
4)の「サイトカイン」とはT細胞などから出る免疫細胞の1つになります。
T細胞は抗原(=異物)を見つけるとその活性を強めて「サイトカイン」という指令を出して異物に対する「抵抗性」を強めていきます。
着床成功の一つの大きな考え方は
一度排卵して、母体から出た「卵子」が精子と「受精」する事で、「別の細胞」に「変異」したもの(=異物)を、身体に取り込む必要があります。
この際に、如何に「免疫寛容」(=受精卵を受け入れて大丈夫!と異物を排除しようとする「免疫」を過剰に働かせない事)へ移行させていくかが大切なポイントになります。
このマイナスに働く免疫を過剰に働かせない「免疫寛容」を促す簡単な方法があります。
前述、述べたT細胞がこの「免疫寛容」の重要な役割を果たします。
Tレグ(Treg)という免疫を調整する細胞が多いほど、着床に繋がったとする研究成果が上記に述べられています。
ここで調整性免疫をあげて、着床を促す方法が
「子宮への精子の暴露により着床が促進される」
つまり
タイミングの頻度をあげて行く必要性が上記の研究成果では述べられています。
子宮は内臓の一部ですので、異物を嫌います。
ただ、1ヶ月に一度、オリモノが増え、子宮が精子を受け入れを促していく排卵期があります。
しかし、無理がない範囲で、その時期に拘らずに
よりよくタイミングの頻度をあげていく事で、常時、子宮内に異物が滞在する事になり(精子は3日間生きると言われています)、それに免疫が慣れて、受精卵が内膜に近づいた時に異物とみなされなくなり、受け入れを容認する事ができるのかもしれません。
生殖医療へ移行していかれると、タイミングをとることが少なくなる事をお聞きします。
ただ、お互いの存在を認め合う時間を進めていく事は
気持ちの安定にもつながり、且つ、妊娠する確率を高めていく事につながる事を少し心に留めてもよろしいのではと思います。
いくつかの手段を併用しながら、パートナーの方と無理のない、お互いが納得のいかれる方法を進めて頂ければとも思います。
しばらく、この「着床」について考えて、こちらへ投稿していきたいと思います。