ある報告を拝見致しました。
「凍結保護剤に抗酸化剤の添加が有用」というタイトルです。
取り上げられた研究は
1)マウスの卵巣刺激後、4日間胚盤胞まで成長させる
2)① 胚盤胞の培養液 ②凍結時の培養液 ③融解時の培養液 に対して
3種類の「抗酸化剤(酸化を抑える製剤)」を
① 添付したもの ② 添付しなかったもの
を比較。
3)結果
①添加した群がしなかった群と比べて
・内塊細胞数
・全体の細胞数
・細胞の拡張
が有意に増加。
・出産時の胎児の体重と身長
が有意に改善された。
3)結果
・凍結時の培養液のみ有効
「胚盤胞まで行くことが、子供の出産につながり、移植回数も少なくなる」
というデータがある事からも、胚盤胞まで行き、且つ凍結をした方がより妊娠率が高いことも、昨年の生殖医学会で述べられていました。
この事から、ARTでは胚盤胞→「凍結」を目指されているケースが多いと考えられます。
その際に、「酸化を抑える」事が、より、細胞の成長をサポートする事を今回のご紹介した研究では示唆していると云えます。
卵子においても、卵子が入っている卵胞液内の「酸化」が受精率に関与する事は山口大学より報告されています。
赤い袋が「卵胞」です。黄色いもの中に卵子が入っています。
卵胞腔の中の「酸化」が受精卵にどの様に影響するかを表したものが下記のデータです。
x軸の酸化を司る「8OHdG」が高くなるにつれ、Y軸の「受精率」が低くなるのが判ります(20を越えると受精率はゼロです。)
今回の報告では、胚盤胞凍結時のみの有効性を報告されていますが、個体差を考えた場合に
より「酸化」を抑えていく方法を検討していく必要性は高いと考えられます。
現在、当院では「抗酸化」を機器において対処する事を進めております。
整体、栄養、運動、そして、テクノロジー
できる事全てに取り組む事で、多方面からの問題解決に努めて参りたいと考えております。