皆さん、おはようございます。
本日もよき天気ですね、朝から素敵なお時間を過ごされる事を願っております。
本日は卵巣予備機能(DOR)について、メタアナリティクスという精度の高い研究手法で導きだされた報告のご紹介です。
https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(24)02256-8/fulltext
対象:2024年6月までの文献から、POSEIDON基準でDOR(卵巣予備能低下)と診断された女性
方法:38件のランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシス
介入方法:DHEA、テストステロン補充、高刺激/低刺激、遅延法など多数
主な有効介入:
1)テストステロン補充 → 採卵数、臨床妊娠率、出産率が有意に上昇
2)DHEA補充、遅延法 → 採卵数が上昇
3)低刺激 → 採卵数が減少
考察:
テストステロンは女性の卵胞発育に不可欠なホルモン
日本ではテストステロン補充療法はあまり普及していない
とされています。
卵巣の予備機能= AMHが低い場合に、栄養的な対策をテストステロンが関わっている事が判りました
ただ、一般的に不妊治療では、テストステロン、DHEAへの処置はされていません、その上で、栄養学的な日々の取り組みを検討すべきかも知れません。
テストステロンは「ホルモン」になります。
1. コレステロール
テストステロンは「コレステロール」から作られます。
極端な低脂質食、またはコレステロール値が低いと、ステロイドホルモン(コルチゾール・エストロゲン・テストステロンなど)の材料不足になります。
2. 亜鉛(Zn)
亜鉛はテストステロン合成酵素(17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素など)の働きをサポートします。
亜鉛不足は直接テストステロン低下と関連します。
3. ビタミンD
ビタミンDはテストステロン受容体の発現を高め、合成にも関与しています
4. マグネシウム(Mg)
マグネシウムは副腎・性腺の酵素活性を助け、ホルモン全体のバランスを取るミネラル
ストレスや精製糖質の多い食事で容易に不足します。
5. 抗酸化対策(ビタミンC・E・ポリフェノール)
酸化ストレスが高いと、ステロイド合成細胞(ライディッヒ細胞や副腎皮質細胞)がダメージを受け、テストステロン分泌が減ります
6. インスリン感受性の改善
インスリン抵抗性は、テストステロン代謝(特に女性でのDHEA-s→テストステロン→エストラジオール転換)に悪影響を与える場合があります。
また、本研究ではDHEAに関しても、記載がなされていました。
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、テストステロンの前駆体であり、副腎からも分泌される重要なホルモンです。
DHEAは「若さのホルモン」とも呼ばれ、卵巣機能や細胞の若返りに関わっています。
しかし、慢性的なストレスを受けると、副腎はストレスホルモンであるコルチゾールの産生を優先し、DHEAの産生が犠牲になります。
この現象を「コルチゾールシャント(cortisol shunt)」またはコルチゾールスティールと呼びます。
つまり、
ストレスが長期間続くと、
→ 副腎はコルチゾールを大量生産
→ DHEAは後回しにされ、結果としてテストステロンやエストロゲンの基礎材料が減る
→ 卵胞発育や卵巣機能が低下
という悪循環に陥るのです。
栄養と生活の両面からアプローチを
DHEAを守るためには、
ストレスマネジメントが大切です
そして
低血糖症状そのものが、ストレスに大きく影響している事が考えられます。
しかし
往々にして、皆さん、その病識が低いことが考えられます。
一度、その点も整理されておかれる事も有効と思われます。