皆さん、こんにちは。
本日市内は、高校の入学式が執り行われており、晴れやかな日和でよきスタートを切れられたのではと思います。
皆さんも、各ご職場で新しい時間をお過ごしになられていいるのではと思います。
着床に関して、とても重要な膣、子宮内の「酸性ー中性ーアルカリ性の程度」
いわゆる、pHに関する研究が、北里大学より24人の婦人科クリニックに通われる女性を対象に
膣における妊娠のためのpH調整の生理学的メカニズム
の研究報告が為されました。
妊娠成立のプロセスは、
「精子が膣内→子宮頸管→子宮腔→卵管膨大部に到達し、受精→着床」
という一連の段階を経ます。
このなかで膣・頸管・子宮内の「環境」「pHグラデーション」は非常に重要であり、特に膣においてはpHの恒常性が、精子の生存・移動性、感染予防、微生物環境の安定に直結しています。
この研究では、健康な日本人女性の膣内細菌叢が主に以下の4つのタイプに分類され、膣内のpHと生菌数(乳酸桿菌の量)には明確な負の相関があることが示されました。
この文献で注目すべきは:
1)乳酸菌の存在量=膣内pHの維持に直結している
2)BMIや年齢がpHや菌叢に影響
3)低体重・閉経前後では乳酸菌が減少し、pHが上昇する傾向
妊娠に適したpH調整の生理学的メカニズムについて、4つのポイントがございます。
良性な菌の安定は、エストロゲンが非常に重要な役割を果たします!
① エストロゲン → 膣上皮のグリコーゲン蓄積
エストロゲンは膣の上皮細胞に働きかけてグリコーゲンを蓄積させます。
膣内の乳酸菌(主にL. crispatus)は、このグリコーゲンを糖に分解・発酵して乳酸を生成します。
この乳酸により、膣内は、酸性(pH3.5〜4.5)に保たれ、精子の通過環境と病原体ブロック機能が調和されます。
「エストロゲン → グリコーゲン → 乳酸菌 → 乳酸 → 酸性pH」
このカスケードが大切といえます。
② 排卵期に向けたpH調整機構(頸管粘液)
排卵期になると、エストロゲンがピークに達し、頸管粘液が分泌されます。
この頸管粘液は、アルカリ性に傾き(pH6.5〜8)、膣の酸性環境から精子を守りつつ、子宮への通過をサポート。
粘液にはグリコプロテイン(ムチン)や亜鉛・カルシウムが含まれ、精子の生存に適した微環境を作ります。
→ 「酸性から一時的にアルカリ性へのトンネル」を作るという、ホルモンに応じた一過性のpHシフトが存在する。
③ 膣pHの安定維持:乳酸産生菌によるバッファリング
特にL. crispatus(ラクトフェリンの一つ)は、D-乳酸・L-乳酸両方を産生でき、pH4.0以下を維持する能力が高い。
文献によれば、乳酸桿菌の生菌数が多いほどpHは低く安定しており、受精・着床に有利な環境が維持される。
→ 「量としての菌の存在」が「pH維持力(buffer capacity)」を決めるという視点が重要です。
④ 腸–膣軸と免疫の連動
「腸内フローラ」と「膣内フローラ」は免疫と代謝を介してリンクしており、腸の乳酸菌が減少すると膣内も乱れやすくなる。
特にIgAや抗菌ペプチドの分泌は、粘膜免疫を支え、pHや菌叢を間接的に安定化。
→ 「pH=単なる酸性度」ではなく、免疫・代謝との複合的な調和で守られている。
腸内環境が乱れることが、膣環境も乱すことになると指摘されています。
では、何故、腸内環境が乱れるのでしょうか?
上記の図はストレスを感じた際に、CRHというホルモンが出て
腸膜を薄くし
それにより、腸内に炎症が広がっていく事を示した図です。
つまり
ストレス→腸内環境悪化→膣環境悪化
結果的に
子宮内もアルカリ性 過多
↓
悪玉菌繁殖
↓
子宮筋腫
の流れも想像が難しくありません。
副腎疲労をどう改善されていくのか
それは
着床へ繋がるスタートでもあると考えられます。