活性酸素=サビと卵の成熟に関しては沢山の報告がなされています。
2017年の生殖医学会にて報告された
「活性酸素濃度が未成熟卵子にどの様に影響を与えるか?」
その様な報告です。
1)あるクリニックの42名(=n)を対象とした研究
2)nの「卵胞液」を採取。
上記赤い袋の中にある液体が「卵胞」になります。
「卵丘」の中にある赤い円が「卵子」になります。
「卵胞腔」と言われている薄いピンクの中にあるのが「卵胞液」です。卵を取り囲んでいるものですね。
この卵胞液の酸化=サビの程度と卵の成熟を研究したのが下記になります。
3)nから採取した卵胞液の活性酸素濃度の
⑴ 高い群(H-ROS)
⑵ 低い群(L-ROS)
を用いて
⑶ 卵胞液 濃度0、10、50、100%
に設定。
4)その後の卵の成熟率をマウスを用いて
⑴ 卵丘細胞卵子複合体(COC)
⑵ 卵丘細胞除去卵子(DO)
において
成熟過程の卵子、及び、卵丘細胞の変化を観察解析。
5)結果
卵の「成熟率」について
卵丘細胞卵子複合体(COC) | 卵丘細胞除去卵子(DO) | ||
0%卵胞液 | 80.6% | 71.4% | 有意差なし |
活性酸素濃度 高い 10%濃度 | 50% | 85.4% | 有意差あり |
活性酸素濃度 高い 50% | 21.2% | 56.9% | 有意差あり |
活性酸素濃度 高い 100% | 10.8% | 20.8% | 有意差あり |
卵子の変性率 50%以上 | > | 有意差あり |
【中田ら:活性酸素濃度が高い卵胞液がマウス未成熟卵子に与える影響.第62回日本生殖医学会.2017】
上記の結果から、活性酸素が高い卵胞液の場合は、培養時には「卵丘」を除去した方が、より成熟しやすい事が判ります。
加えて、活性酸素が高くなる程に成熟率が低下している事が判ります。
この事からも如何に、活性酸素濃度を低下させるかは、卵の成熟に関わっている事が考えられます。